2012-07-05

義人ヨブ記(job)30

神は、ご自分の独特のなさり方で、人間の心に働きかけます。
わたしたちには、その人たちが、どれほど神に近いのかわかりません。
けれど、彼らの行為から、それを窺い知ることができます。
彼らガ神に温順か、そうでないか、を。
マザーテレサ

『義人ヨブ記30に入ります』

だが今は、わたしより若い者らが
わたしを嘲笑う。

彼らの父親を羊の番犬と並べることすら
わたしは忌まわしいと思っていたのだ。

その手の力もわたしの役には立たず
何の気力も残っていないような者らだった。

無一物で飢え、衰え
荒涼とした砂漠や沼地をさまよい

あかざの葉を摘み
れだまの根を食糧としていた。

彼らは世間から追われ
泥棒呼ばわりされ

身震いさせるような谷間や

土の穴、岩の裂け目に宿り

茨の間で野ろばのようにいななき
あざみの下に群がり合っていた。

愚か者、名もない輩
国からたたき出された者らだった。


ところが今は、わたしが彼らのはやし歌の種
嘲りの言葉を浴びる身になってしまった。

彼らはわたしを忌み嫌って近寄らず
平気で顔に唾を吐きかけてくる。

彼らは手綱を振り切り、わたしを辱め
くつわを捨てて勝手にふるまう。

彼らは生意気にもわたしの右に立ち
わたしを追い出し、災いの道を行かせ

逃げ道を断ち、滅びに追いやろうとする。
それを止めてくれる者はない。

襲って来て甚だしく打ち破り
押し寄せて来て廃虚にする。

死の破滅がわたしを襲い
わたしの力は風に吹きさらわれ

わたしの救いは雲のように消え去った。

もはや、わたしは息も絶えんばかり
苦しみの日々がわたしを捕えた。

夜、わたしの骨は刺すように痛み
わたしをさいなむ病は休むことがない。

病は肌着のようにまつわりつき
その激しさにわたしの皮膚は
見る影もなく変わった。

わたしは泥の中に投げ込まれ
塵芥に等しくなってしまった。

神よ
わたしはあなたに向かって叫んでいるのに

あなたはお答えにならない。

御前に立っているのに
あなたは御覧にならない。

あなたは冷酷になり
御手の力をもってわたしに怒りを表される。

わたしを吹き上げ、風に乗せ
風のうなりの中でほんろうなさる。

わたしは知っている。
あなたはわたしを死の国へ

すべて命あるものがやがて集められる家へ
連れ戻そうとなさっているのだ。


人は、嘆き求める者に手を差し伸べ
不幸な者を救おうとしないだろうか。

わたしは苦境にある人と共に
 泣かなかったろうか。

貧しい人のために心を痛めなかったろうか。

わたしは幸いを望んだのに、災いが来た。

光を待っていたのに、闇が来た。

わたしの胸は沸き返り
 静まろうとしない。

苦しみの日々がわたしに襲いかかっている。

光を見ることなく、嘆きつつ歩き
人々の中に立ち、救いを求めて叫ぶ。

山犬の兄弟となり
駝鳥の仲間となったかのように
わたしの皮膚は黒くなって、はげ落ち

骨は熱に焼けただれている。
喪の調べをわたしの竪琴は奏で

悲しみの歌をわたしの笛は歌う。


(ヨブ記 第30章)
続きます。

愛の樹オショチ†

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