復讐する者は、主から復讐を受ける。
主はその罪を決して忘れることはない。
隣人から受けた不正を赦せ。そうすれば、
願い求めるとき、お前の罪は赦される。
人が互いに怒りを抱き合っていながら、
どうして主からいやしを期待できようか。
自分と同じ人間に憐れみをかけずにいて、
どうして自分の罪の赦しを願いえようか。
弱い人間にすぎない者が、
憤りを抱き続けるならば、
いったいだれが彼の罪を赦すことができようか。
自分の最期に心を致し、敵意を捨てよ。
滅びゆく定めと死とを思い、掟を守れ。
掟を忘れず、隣人に対して怒りを抱くな。
いと高き方の契約を忘れず、
他人のおちどには寛容であれ。
【口論】
口論に加わるな。そうすれば、
お前は罪を犯す機会が少なくなる。
怒りっぽい人は口論をあおり立てるからだ。
罪深い者は、友情にひびを入れ、
和やかに暮らしている人たちに不和をもたらす。
火は薪をくべればそれだけ燃え上がり、
口論は頑固さが加わると、激しさを増す。
激怒は、力たけき者ほどすさまじく、
怒りは、富に頼る者ほど激しくなる。
軽率な争いは、火をあおることになり、
軽はずみな口論は、流血の惨事につながる。
火種に息を吹きかければ真っ赤に燃え上がり、
唾を吐きかけると消える。
どちらもお前の口のなせる業。
【舌禍】
うわさして回る者や二枚舌の者は、呪われよ。
平穏に暮らしている多くの人々を破滅させたから。
陰口は多くの人の心を乱し、
国から国へと人々を追い立て、
堅固な町々を破壊し、
権力者たちの家を破滅させた。
陰口は貞節な妻さえ離婚に追い込み、
彼女らが労苦して得たものを奪い取った。
陰口を気にすると、心穏やかではなくなり、
平穏に暮らすことはできなくなる。
鞭で打つと皮膚が裂け、
舌で打つと、骨さえ砕ける。
多くの人が剣のやいばに倒れたが、
その数は、舌のやいばに倒れた人には及ばない。
舌の攻撃を避けることのできた人、
荒れ狂う舌の被害を受けなかった人、
その軛につながれず、
その鎖に縛られなかった人、
このような人は幸いである。
舌の軛は鉄の軛、
その鎖は銅の鎖。
舌のもたらす死は残酷だ。
陰府の方がそれよりもましである。
舌は信仰深い人には力を振るえず、
その炎も彼らを焼くことがない。
主を捨てる者は舌によってひどい目に遭う。
舌は彼らの内で燃え、決して消えることなく、
獅子のように襲いかかり、
豹のように彼らを引き裂く。
さあ、お前の畑には茨で囲いを巡らせ。
お前の口には戸を立てて、かんぬきを掛けよ。
お前の金銀はしまって錠を下ろせ。
お前の言葉は秤に掛けて、慎重に用いよ。
口を滑らせないように注意せよ。
待ち構えている者の餌食になるな。
(シラ書28章1〜26節)
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