2014-08-05

シラ書 38

【医者と薬】
医者をその仕事のゆえに敬え。
主が医者を造られたのだから。
いやしの業はいと高き方から授かり、
それによって、王からは褒美を受ける。
医者はその博識によって高い身分を与えられ、
権勢ある人々の前で驚嘆される。
主は大地から薬を造られた。
分別ある人は薬を軽んじたりはしない。
一本の木によって水が甘くなり、
木に備わる力が、明らかにされたではないか。
主は自ら人々にいやしの知識を授け、
その驚嘆すべき業のゆえにあがめられる。
医者は薬によって人をいやし、痛みを取り除く。
薬屋は薬を調合する。
主の業は決して終わることなく、
健康は主から全地の人々に与えられる。
子よ、病気になったら放置せず、
主に祈れ。そうすれば、主は治してくださる。
過ちを犯すな。手を汚すな。
あらゆる罪から心を清めよ。
良い香りの献げ物と、
質の良い小麦粉を供え物として献げよ。
余裕のあるかぎり十分に、供え物に油を注げ。
その上で、医者にも助けを求めよ。
主が医者を造られたのだから。
彼を去らせるな。お前には彼が必要なのだ。
医者の手によって病気が治る時もある。
医者もまた主に祈り求めているのだ。
病人の苦しみを和らげ、
命を永らえさせる治療に成功することを。
創造者に対して罪を犯す者は、
病気になって医者にかかるがよい。

【死者への哀悼】
子よ、死者のために涙を流せ。
お前は大きな苦痛を味わっているのだ。
悲しみの歌をうたえ。彼にふさわしい礼を尽くし、なきがらを包め。
また、埋葬をおろそかにするな。
悲痛の涙を流し、胸を打って嘆き悲しめ。
彼の名にふさわしく喪に服せ。
人からとやかく言われぬように一両日喪に服し、
その後、心痛がいやされるため弔問を受けよ。
なぜなら、悲しみから死が生じ、
心の悲しみが力を奪うから。
苦悩に身を置くかぎり、悲しみは付きまとい、
貧しい者の生活は、呪いに満ちたものとなる。
悲しみに心を奪われてはならない。
人生の終わりであったとあきらめ、
悲しみを払いのけよ。
忘れてはいけない。その人は戻らないのだ。
嘆いても彼のためにはならず、
自分の体を損なうだけだ。彼の運命であったと考えよ、
お前も同じ定めにあるのだから。
「昨日はわたし、今日はお前の番だ。」
死者を墓に休ませたなら、もう彼を思い出すな。
彼の霊が去ったなら、気を楽にせよ。

【職人と学者】
学者の知恵は、余暇があって初めて得られる。
実務に煩わされない人は、知恵ある者となる。
どうして知恵ある者となれようか、
鋤を握り、突き棒の扱いを自慢する者が。
また、牛を追い立て、仕事に忙しく、
話題は子牛のことばかりという者が。
彼は畝作りに没頭し、
夜も寝ないで若い雌牛にえさを与えている。
職人や職人頭も同じだ。
彼らは昼夜を分かたず仕事に励む。
印章を彫り込む人々、
さまざまな下絵書きに没頭する者も同じだ。
彼は本物そっくりに表現しようと精魂を傾け、
夜も寝ないで仕事を仕上げる。
鉄床のそばに座るかじ屋も同じだ。
彼は鉄の細工物を一心に見つめる。
熱風で体はやけどを負うが、
炉の熱にあてられながら、懸命に仕事をする。
彼の耳には、金づちのやかましい音が鳴り響き、
目は器の形に注がれる。
彼は仕事を完成させようと精魂を込め、
夜も寝ないで見事に仕上げる。
仕事場に腰を据える陶器職人も同じだ。
彼は足でろくろを回す。
常に仕事に熱中し、
その作品を数える。
彼は足で粘土をこねて、固さを除き、
手でそれを形づくる。
上塗りをかけて仕上げるのに精魂を込め、
夜も寝ないで、窯を掃除する。
これらの人々は皆自分の腕に頼り、
それぞれ、自分の仕事には熟練している。
彼らなしに、町は成り立たず、
住み着く人も、行き来する人もいない。
しかし、彼らは民の会議では意見を求められず、
集会においても責任ある地位には昇れない。
裁判官の座にもつけず、
法律にかかわる決まりも理解していない。
教訓や法律を説き明かすこともできず、
格言にも精通していない。
彼らは造られたこの世界の調和を固く保つ。
彼らの願いは、仕事を全うすることにある。
しかしながら、心を傾けて、
いと高き方の律法を研究する人がいる。

(シラ書38章 1〜34節)

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