創世記
−二つの夢−
その後、エジプト王の給仕人と料理人が、エジプト王の怒りにふれて、ヨセフのいる牢にいれられました。親衛隊長は、ふたりをヨセフにひきわたし、ふたりのせわは、ヨセフがすることになりました。
ある晩、王の給仕人と料理人は夢を見ました。朝になってヨセフがふたりにあうと、ふたりとも、悲しそうにしておりました。ふしぎに思ったヨセフは、「きょうは、どうしてそんな悲しそうな顔をしてるのですか」とたずねました。
「夢を見たのですが、だれもその夢をといてくれません」と、ふたりは答えました。
「夢をとくのは神です。わたしにその夢の話をしてください」とヨセフは言いました。
そこで給仕人は、自分の見た夢を話しました。
「夢のなかでは、ブドウの木が一本はえていました。そのブドウの木には三本の枝がでていました。ちょうど芽をだし、花がさき、ブドウのふさが熟したように見えました。
そのとき、わたしは王のさかずきを持っていましたので、ブドウをもぎとってそのさかずきにしぼり、王にささげました。」
ヨセフはその男に言いました。
「あなたの夢のときあかしはこうです。三本の枝とは、三日のことです。三日ののち、王は、あなたをゆるして、またもとの役目につかせてくださるでしょう。そしてあなたは、前とおなじように、その手でさかずきをささげることでしょう。
あなたがしあわせになられましたら、どうか、わたしのことも思いだしてください。わたしのことを王さまに話して、ここから出られるようにしてください。じつは、わたしはヘブル人で、さらわれてここにきたのです。ここで、いっしょうけんめいはたらきました。この地下牢にいれられるようなことは、何もしておりません。」
−料理人の夢−
料理人は、給仕人の見た夢のときあかしがよかったので、ヨセフに言いました。
「わたしも夢を見たのです。わたしは、白パンのはいった三つのかごを、頭にのせていました。いちばん上のかごには、王さまにさしあげるために料理された、いろいろなごちそうが、はいっていました。ところが、どこらか鳥がとんできて、このごちそうを、みんなたべてしまったのです。」
ヨセフはこれに答えて、「あなたの夢のときあかしはこうです。三つのかごは三日のことです。三日のうちに王さまがあなたをおよびになって、木にかけて、しばり首にするでしょう。そして、鳥があなたの肉を食べられなかったり、しまうでしょう」と言いました。
三日めは、ちょうど王の誕生日でした。王は、家臣をみんな集めて、お祝いの会をひらきました。給仕人も料理人もよびよせました。給仕人はもとの職について、前のように王のためにさかずきをささげましたが、いっぼう料理人のほうは、しばり首にされました。ヨセフの言ったとおりになったのです。
しかし、給仕人はヨセフのことを、すっかりわすれてしまいました。
(つづく)
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