2012-10-03

義人ヨブ記(job)41

勝ち目があると思っても、落胆するだけだ。
見ただけでも打ちのめされるほどなのだから。

彼を挑発するほど勇猛な者はいまい。
いるなら、わたしの前に立て。

あえてわたしの前に立つ者があれば
その者には褒美を与えよう。

天の下にあるすべてのものはわたしのものだ。

彼のからだの各部について
わたしは黙ってはいられない。

力のこもった背と見事な体格について。

誰が彼の身ごしらえを正面から解き
上下の顎の間に押し入ることができようか。

誰がその顔の扉を開くことができようか。

歯の周りには殺気がある。
背中は盾の列
封印され、固く閉ざされている。

その盾は次々と連なって
風の吹き込む透き間もない。

一つの盾はその仲間に結びつき
つながりあって、決して離れない。

彼がくしゃみをすれば、両眼は
曙のまばたきのように、光を放ち始める。

口からは火炎が噴き出し
火の粉が飛び散る。

煮えたぎる鍋の勢いで
鼻からは煙が吹き出る。

喉は燃える炭火
口からは炎が吹き出る。

首には猛威が宿り
顔には威嚇がみなぎっている。

筋肉は幾重にも重なり合い
しっかり彼を包んでびくともしない。

心臓は石のように硬く
石臼のように硬い。

彼が立ち上がれば神々もおののき
取り乱して、逃げ惑う。

剣も槍も、矢も投げ槍も
彼を突き刺すことはできない。

鉄の武器も麦藁となり
青銅も腐った木となる。

弓を射ても彼を追うことはできず
石投げ紐の石ももみ殻に変わる。

彼はこん棒を藁と見なし
投げ槍のうなりを笑う。

彼の腹は鋭い陶器の破片を並べたよう。

打穀機のように土の塊を砕き散らす。

彼は深い淵を煮えたぎる鍋のように沸き上がらせ
海をるつぼにする。

彼の進んだ跡には光が輝き
深淵は白髪をなびかせる。

この地上に、彼を支配する者はいない。

彼はおののきを知らぬものとして造られている。

驕り高ぶるものすべてを見下し
誇り高い獣すべての上に君臨している。


(ヨブ記 第41章)

後一章です。

愛の樹オショチ†

サルバトール・ダリ「聖書」よりヨブ記(1969)

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