生命ふたたび(9)
─ある頸椎症患者の記録─
それから数日後のことである。たまたま私たちが留守にした日に突然訪ねて来た彼女は、私たちの集会所のある団地5階の、踊り場から下に身を投げた。本当に悲惨な状態であった。母親から緊急の知らせを聞いて、北里大学病院の救急医療センターに駆けつけた。一度目の自殺未遂の時には、私が持たせた十字架を握り締めていたという。しかし、二度目の奇跡は起きなかった。それから3日後の2000年(平成12年)9月29日(金)夜、午後10時31分、息をひきとった。24歳であった。
母親は顔をそむけて、遺体安置室に決して入ろうとはしなかった。私は胸が締め付けられ、苦しく、再び目をあけることのない彼女を、救えなかったことへの無念さに、強く唇をかみ締めていた。北里大学病院では、死亡診断書が書けないという。霊柩車に乗せられたMちゃんの遺体が運ばれた先が、今回私が手術を受けた、おか脳神経外科の一階の部屋であった。
Mちゃんの検死をしてくださった医師が、山下弘一先生であった。秋の夜の寒さつらさを、私は決して忘れてはいない。運命の不思議なめぐり合い、4月10日の手術は、岡伸夫院長先生とその山下弘一先生の手で行われ、私が救われたのである。天に帰ったあのMちゃんの私への恩返しかもしれないと、私は胸の奥底からこみ上げてくる熱いものを感じていた。
愛の樹ふるさとの家 日田の、日当たりのよい庭に、Mちゃんのための乙女の祈りの彫像が置かれ、その下に小さなお墓がある。私たちはここを、「Mちゃんのお花畑」と呼んでいる。天に帰ったMちゃんの、愛のメモリーである。
合掌
−治りました−
まず顕著な症状を以下に記します。
1、 両手足に生じていたあの恐ろしい激痛がウソのように消えた。
2、 両手の指のふるえがピタリと止まった。
3、 下着がまともに着られるようになった。
4、 胃の圧迫感が消えて働きがスムーズになった。温もりが出てきた。
5、 便秘がなくなった。
6、 両手両足の関節痛が消えた。
7、 右目の視力が回復してきた。
8、 血小板が増えた。
9、 水で手が洗えるようになった。
次にまだ改善されていない症状
1、 左右両手の感覚障害、冷感がある。
2、 両手の小指と薬指の痺れがあり、天候に左右される。
3、 左肩の筋肉痛が若干残っている。
4、 手術後に全身の骨が痛む。
以上
5月1日(術後20日)現在 あいかわ
(つづく)
「生命ふたたび」 2003年6月1日 発行 より
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