2012-08-16

イエスとの出合い(5)ー天路歴程・地路歴程6

イエス・キリスト受洗の前に、洗礼者ヨハネの時代背景を少し。

【エッセネ派】

エッセネ派について少し補足したい。

エッセネ(アラム語の癒し)と言う語源から派生したといわれるエッセネ派は、エルサレム神殿を中心とした祭儀をユダヤ教の堕落とみなし自分たちだけの共同体を形成していた。

その数約4000人。

彼らは一切の財産を共有し、朝早く起きて祈り、午前中は農作業をした。

その後、白い麻布をまとい沐浴し、共同の食事をとることが大切な日課であった。

共同体に入会する新しい会員には一定の試験があり、合格した者だけ、共同体の食事に座ることが許された。

彼らは人間の行為や運命は神によって予め定められていると言う信仰を持っていたが、政治に関わることはなく、しかし70年のユダヤ大反乱の中に巻き込まれて、その後のエッセネ派について何も聞かれない。



「説教する洗礼者ヨハネ」マッティア・プレーティ(1667)


【ナザレのイエス】

ナザレの語源ははっきりしないが、ヘブル語の若枝と言う言葉に近いと言う。

ナザレからなんのよいものが出ようか?(ヨハネ1:46)

ナザレ人は蔑視され、卑しめられていた。

その中で青年イエスは父、ヨセフのもとで大工として誠実に働き、公生涯の日に備えていた。

因みに、イエスと言う名は(ヤハウェは救いなりの意味である)

他方キリストは、人名でなく今で言う、職名である。

意味は油そそがれた者と言うヘブル語、メシヤのギリシヤ訳である。

時には王、預言者、大祭司などと呼ばれ、聖別するとき、油そそがれた者とみなされた。

キリストと言う職名がイエスについて用いられ、イエス・キリストとして固有名詞として固定した。

神のみ子、イエス・キリストが神から与えられた職名(使命)のもとで、人類救済の大事業に乗り出した事実は大変興味深い。

僅か三年間の公生涯に人類救済の大事業が集約されたのだから。

人類史を開くと、ことの善悪は別にして、思いがけない小さな事件や無名の人物の出現で歴史が大きく変わり後世に多大な影響を与える。

今の、パレスチナ、イスラム圏内の深刻な争いは、イスラム教とユダヤ国家の対立を越えて複雑な様子を、ますますエスカレートし、いつ果てるともない泥沼にはまり込んでいる。

過去も現在も未来も争いばかりでは人類は自滅する。


「イエスの洗礼」マッティア・プレーティ(1680頃)


【イエスは謎の人物】

謎だらけの不思議な存在。

人類史にはじめて登場した新人類(ミュータント)ではないか?と思う。

これほどの人間に普通の人間はなれない。

特別な英才教育を受けたとか、ずば抜けた天才とも質が、次元が違う。

底知れぬ深さ、神秘的霊性、人間の力を超えた愛の奇跡、癒しの実証、聖書に記述されている奇跡は数知れぬ。

私は渇望した。

イエスの実体に触れたいと。

そくそくと、肌に触れる実感を秘密が聖書のどこかに隠されてはいないか?ヒントは何か?探した。

狭い部屋の壁にもたれていつも考えた。

【奇跡】

超自然的と思われる出来事をさす。

神はみ子イエス・キリストにより、またみずから選んだ預言者、使徒などを通じて様々な奇跡を行われた。

奇跡に接した人々は驚き、これを不思議、(出エジプト記7:9,申命記29:3,ルカ11:14,使徒3:13) などに「異常な力あるわざ、しるしと理解された。」

旧約聖書の中にも、奇跡として、エジプト脱出の時にモーセによって数多く行われたもの、また荒野の旅にあっての不思議なわざが、顕著なものであると、出エジプトの事件が、神の救いの決定的なわざであること。

神による奇跡が単に人々に見せて驚嘆させるものでなく、救いに導く手段と理解されたのである。

新約聖書において、イエスの奇跡が圧倒的に多く記されているが福音書の3分の1が奇跡物語と言われるほどである。

これらの奇跡物語は、神の国の到来の出来事として、聖書に記載されている。

決定的な奇跡が、復活である。

イエスが神のみ子として、復活した奇跡に対する科学的、合理的立場の解釈や批判は、福音書記者が奇跡物語を記載した意図からみると、的をはずれたものとなる。

記者は不可能を可能とする神の全能を信じて書いたのであり、またそれを読むものも信仰を持って受け入れたのである。

ある元、カトリック信者から質問された。

「貴男は、復活を本気に信じていますか?と。

彼は、復活がなければ信じるのですが!と話した。」

結局奇跡の事実は人間の肉的な懐疑性の殻を破らない限り永遠の謎となる。

私はイエスの生それ事実に驚嘆し圧倒される。これは私の信仰告白の原点である。

続きます。

愛の樹オショチ†

「カナの婚礼」マッティア・プレーティ(1655)

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